こんにちは、ゆうちゃんです。
今回は、新型コロナウイルスの抗体検査ってどういうもの?、抗体があると新型コロナウイルスに感染しないの?、抗体検査に関連する株式銘柄は?についてお話します。
2020年4月24日、米ニューヨーク州で新型コロナウイルスの抗体検査を行ったことがニュースになりました。
ニューヨーク州内各地のスーパーの顧客3,000人を無作為に選んで抗体検査をしたところ、約14%が陽性反応を示したとの内容でした。こちらの陽性率を人口に当てはめると州全体で約260万人が新型コロナウイルスにすでに感染した計算になります。一方、同州における実際の感染者数は26万3460人ですので、実際に検査で陽性となった人の10倍程度の人々が新型コロナウイルスに感染していたのではないか?という結果です。
また、同州の新型コロナウイルスによる死亡者数は1万5,500人以上が死亡していますが、今回の抗体検査における陽性率を州全体に当てはめると、同州での新型コロナウイルスによる致死率はわずか0.5%になる(公表されている死亡率は約6%程度)と指摘されています。
今回のニューヨーク州における抗体検査は検査人数が多いとは言えませんのでニューヨーク州全体に当てはめるには適切かは分かりません。ニューヨーク州では最終的に1日10万人の検査を行う予定となっていますが、世界各国の報告が蓄積されてきたときに新型コロナウイルスの実態が分かってくると言えます。
新型コロナウイルスの抗体検査ってどういうもの?
抗体検査とは?
細菌やウイルス等の病原体が体内に入った時、人間の体は病原体と結合する「抗体」(免疫グロブリンというタンパク質)を作り出し、病原体と結合させ、毒を出したり増殖したりすることを防ぎます。この抗体が血液内にあるかどうかを調べるのが抗体検査です。
症状がなくても感染したことがあれば抗体が存在します。
抗体検査は50年以上前から医療現場で広く用いられている方法で、現在では、風しんや麻しん、水痘・帯状疱疹、ムンプス、B型肝炎などの抗体検査が行われています。
ちなみに、抗体検査は過去にウイルスに感染したかどうかを調べるものですが、PCR検査は体内に存在するコロナウイルスの遺伝子を増幅することで検査時点における新型コロナウイルスに感染しているかを調べるものですので全くの別物になります。
抗体検査の方法は?
抗体検査の検査方法は、①まず指先に針を刺して血液を一滴とり、②検査キットに血液を付着させて、③薬剤をつけると15分程度で抗体の有無を検査することができます。
抗体があるとどうなるか?
抗原が体内に入ることを感作といい、最初の感作では抗体はゆっくりつくられます(一次応答)。2回目以降の感作では、大量の抗体がただちにつくられるようになります(二次応答)。大量の抗体がただちに作られることで二度目の感染が起きにくい可能性があるということになります。
抗体があるとどうなるか?については意見が分かれています。抗体を持っていれば新型ウイルスに感染していて免疫を獲得している可能性があるということになるため、再び罹患することがなく、仕事復帰ができるという意見と、抗体をもっていても免疫を獲得しているわけではないため2度目の感染の可能性もあり得るという意見があります。
WHO感染症対策部門は「抗体反応が起きることが、免疫獲得を意味するかどうかは別の問題だ」と言っています。
また、WHOは「どの程度の抗体ができれば再感染しないと言えるかは、まだ不明」としています。(2020年4月24日時点)
仮に、抗体検査で陽性であったとしても、抗体がどの程度の期間、体内に存在するかは不明という専門家の指摘もあります。
なぜ抗体検査をするのか?
抗体検査をする主な理由は以下の3つです。
①新型コロナウイルスの感染状況や特性が把握できる
②抗体を獲得した人の仕事復帰につながる可能性がある
③ 抗体検査はPCR 検査と比べると医療従事者の感染リスクも大幅に軽減される
理由①:新型コロナウイルスの感染状況や特性が把握できる
抗体検査は、過去にウイルスに“感染したかどうか”を調べるものです。新型コロナウイルスは感染しても無症状の人が多いことが分かっていますが、無症状の人も含めてどの程度の人が感染していたかを調べることができます。
冒頭に述べましたように、米ニューヨーク州では無作為の方々に抗体検査をしたところ約14%が陽性でした。つまり、実態に近い陽性者の数や、実際の死亡率、などを調査をすることができます。この調査により、新型コロナウイルスの脅威が致死率なのか感染力なのかなどが、明確になることで、今後の取るべき対応を考えるうえで重要な情報になります。
理由②:抗体を獲得した人の安心感や仕事復帰につながる可能性がある
特に医療従事者は不安も大きいと思いますが、抗体を獲得していれば不安の軽減になります。アメリカやイギリスでは、抗体のある人に「免疫パスポート」といったような証明書を発行する予定で、「免疫パスポート」を持つ人は自宅待機などの措置の対象外とする案も検討されているということで、日常生活に戻すことや現場復帰が期待できます。
世界においては都市封鎖をしてますし、日本においても緊急事態宣言が出ていますが、そうした状況下にある人々が仕事に復帰することができます。
理由③:抗体検査はPCR検査と比べると医療従事者の感染リスクが大幅に軽減される
現在、新型コロナウイルスの感染が疑われる人にはPCR検査を実施していますが、痰や鼻咽頭の検体を取る必要があるPCR検査の代わりに、採血で検査を行うことができる抗体検査をすることで医療従事者の感染リスクが大幅に軽減されます。こちらの内容は日本医師会が厚生労働省に要望しているものです。
日本は抗体検査をするのか?
厚生労働省によると、国内においても、地域を決めて数回に分けて、数千人を対象に抗体検査を実施する方針です。都内のクリニックにおいて実施されているところもあります。
世界では、米国の他に、イタリアが既に抗体検査を実施していますし、イギリスやドイツ、フランスでも実施が検討されています。
抗体検査における課題は?
2020年4月22日、日本赤十字社から以下のプレスリリースが出ています。
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抗体の測定には現在多くの検査キットがありますが、その性能を十分に評価された検査キットはありません。
そのため、日本赤十字社では、厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部および医薬・生活衛生局からの協力依頼を受け、献血血液における検査の残りの血液を有効活用し、新型コロナウイルスに対する抗体検査に使用する測定キットの信頼性を評価する研究を実施いたします。
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まとめると、抗体検査キッドは多くの種類があるが、新型コロナウイルスの抗体を正確に測定できることが評価された抗体検査キットがないということです。
新型コロナウイルスの抗体を確実に検出できる検査キットでないと、結局、陽性率が実態よりも低く出てしまったり、仕事復帰できる可能性のある人も実態よりも少なくなってしまうということになります。
新型コロナウイルスの抗体を測定できることが評価された抗体検査キットがない状況は海外でも同様です。イギリスにおいては中国から輸入した検査キットをイギリス国内の企業で試験したところ信頼性のあるキットは無かったとされていますし、インドでも中国の抗体検査キットで精度がよくないため使用を取り止めています。
抗体検査のまとめ
抗体検査は、新型コロナウイルスの実態把握や、実際の脅威へ対応するうえで有用なデータとなります。また、抗体を持つ人が免疫を獲得しているということであれば仕事復帰が進み経済も復活していくきっかけになると考えられます。
しかしながら、抗体があれば新型コロナウイルスに再感染しないのか?、抗体を正確に測定できる抗体検査キットがあるのか?、という大きな課題も残ります。
抗体検査キットの開発・販売状況は?関連する株式銘柄は?
現在、米国や欧州など世界各地で新型コロナウイルスの抗体検査の実施が開始されてきており、抗体検査の市場規模は急激に大きくなると想定されます。
国内において承認される、または承認される見込みのある抗体検査キットと販売または製造会社を紹介します。
・クラボウ(3106)
2020年3月16日、研究用に新型コロナウイルスの抗体を15分で検出する検査試薬キットの国内販売を開始。中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づいた 「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」を日本国内に輸入して販売。少量の血清・血漿・全血を専用のテストストリップに添加したのち検体希釈液(専用試薬)を滴下することにより目視で簡単に判定できるもの。感染時に体内で生成される特定の抗体を検出するため、感染初期の検体に対しても判定が可能。感染の初期段階で生成される抗体「IgM」用の検査キットと、感染後長期間にわたり最も多く生成される抗体「IgG」用の検査キットの2種類があり、これらを併用することで、 より精度の高い検査が可能。1キット(10検体)で25,000円。(IgG用とIgM用は同価格)
・シミックホールディングス(2309)
2020年4月24日、シミックホールディングスの100%子会社であるシミックヘルスケア・インスティテュートが、2020年5月7日より全国の医療機関向けに新型コロナウイルスの研究用抗体検査キット販売を開始することを決定。米国FDAの緊急時使用許可(EUA:Emergency Use Authority)に申請中で、既に北米を中心とした世界各国での販売も開始。国内ではCHIが独占的に販売する権利を有する。輸入などの諸準備を進めており、5月7日に申し込み受付開始を予定。製造元であるALFA SCIENTIFIC DESIGNS社(米国)。1箱(20検体)100,000円。
・3Dマトリックス(7777)
2020年4月27日、イムノクロマト法による新型コロナウィルス抗体検査キットを開発し既に欧米向けに 供給を開始している Prometheus Bio 社と協力し、日本での検査キット開発を行う事を決定。 Prometheus Bio 社の Coronavirus IgG/IgM Antibody (COVID-19) Test Cassette は、 血液、血清及び血漿中の 2019-nCoVに対する抗体を検出する体外診断薬用のイムノアッセイであ り、新型コロナウィルス感染による免疫能獲得の存在を示唆する抗ウイルス抗体を検出すること が可能。
・塩野義製薬(4507)
2020年3月17日、新型コロナウイルス IgG/IgM 抗体検査キット製品の導入に向けてマイクロブラッドサイエンス社(MBS社)と業務提携について協議。 2020年4月14日、業務提携の契約を締結して国内での実用化にむけて取組み中。MBS社が独自に中国内協力企業から輸入している簡便な新型コロナウイルスIgG/IgM 抗体検査キットの導入を検討。IgMとIgGの抗体を一挙に免疫クロマト法で測定することを基本原理。10分で迅速に検査結果が得 られる。本検査キットは、感度94%、特異度 97%と高い性能を有する。
・デンカ(4061)2020年3月24日、デンカの連結子会社であるデンカ生研は、国立感染症研究所と新型コロナウイルス感染症の診断法開発に関する共同研究契約を締結。イムノクロマト法による簡易検査キットを開発中。通常、簡易検査キットの製造販売承認取得までには最短で1年半から2年を要するが、関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援により2~3ヶ月内に試作品を完成させ評価し、体外診断薬の国内薬事承認取得を予定。今後1年以内に最大1日10万検査分の量産体制構築を目指す。さらに、様々な医療現場の検査ニーズにお応えすべく、ELISA法や遺伝子診断法を含め、イムノ クロマト法による抗原検出以外の診断方法も同時に検討。
・極東製薬工業(非上場)
2020年4月22日、研究用試薬としてカナダ社製の新型コロナウイルス抗体検出キットを販売開始。イムノクロマト法により迅速SARS-CoV-2に対する抗体を検出。1つのカセットでIgM及びIgGの両方の有無を15分で判定。本抗体検出キットは、欧州連合(EU)の基準に適合する製品である「CE マーク」を取得しており、欧州等で既に使用実績あり。
・スイス製薬大手ロシュ
2020年4月、新型コロナウイルス感染の抗体を調べる血液検査キットを来月までに投入すると発表した。欧州連合(EU)の法律で定められた安全性能基準を採用している国々に5月初旬までに抗体検査キットを出荷したい意向。米国でも使用できるよう、米食品医薬品局(FDA)の承認を申請中。6月までには検査キットの月間生産量を数千万個の水準に引き上げる計画。
・米医薬品大手アボット・ラボラトリーズ
2020年4月15日、数日中に米国内の顧客向けに検査キット約100万個を出荷する予定。増産を計画していることから、月末までには合計400万個を出荷できる見通し。6月以降は、毎月2000万個を供給する予定。
抗体検査キットまとめ
日本に上場している抗体検査関連銘柄としては、クラボウ(3106)、シミックホールディングス(2309)、3Dマトリックス(7777)、塩野義製薬(4507)、デンカ(4061)に期待しています。
現状、抗体検査の課題となっている、抗体があれば新型コロナウイルスに再感染しないのか?、抗体を正確に測定できる抗体検査キットがあるのか?が研究により解決されていけば大きく伸びる市場であると考えています。
抗体検査のシェアを取っていく本命銘柄を当てて大きな株価上昇に乗りたいと考えています。
引続き、勉強をしながら株式投資も楽しんでいきます~!