こんにちは、ゆうちゃんです。
今回は、航空会社は買うべきか?買わないべきか?ANAホールディングス(9202)の株式銘柄分析!につきましてお話します。
本日(2020年5月26日)、アトランタ(CNN Business) 中南米最大の航空会社、LATAM(ラタム)航空グループが米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請しました。
ラタム航空グループは、ANAホールディングスと同規模の保有機数や座席数の超大手航空会社です。世界でもTOP20に入る規模の会社です。
世界においては、新型コロナウイルスの影響で倒産を余儀なくされる航空会社がある中で、国内の航空会社はどのような状況かにつきまして分析していきます。
ANAホールディングス(9202)ってどんな会社
ANAホールディングス(9202)概要
国内線・国際線ともに国内首位、傘下にLCCのピーチをもつ★従業員数
連結34,003人
★時価総額
およそ1兆円
ANAホールディングス(9202)事業内容
2020年3月期決算資料を用いてご紹介します。
出典:ANAホールディングス
主な事業における売上高は国際旅客6,100億円、国内旅客7,000億円、貨物郵便1,400億円となっています。(ざっくり把握する事を目的にしていますので、数字はざっくり記載していきます。)
メイン事業である、国際旅客と国内旅客を合わせると売上全体のおよそ75%を占めています。国際旅客と国内旅客の売上高シェアはおよそ半々です。
(ちなみに2020年3月の4Q決算は新型コロナウイルスの影響が出ていますので、2020年3月期の通期決算に関しても売上や利益に影響が出ています。)
…
売上高の大部分が旅客によるものであると考えると、新型コロナウイルスの影響は甚大ですよね??
次に、新型コロナウイルスの影響について検証していきます。
新型コロナウイルスの影響は?
2020年4月期の4Q決算における新型コロナウイルスの影響は?
出典:ANAホールディングス
2020年3月期の4Q決算をみると、前年比で売上マイナス1,000億円、営業利益マイナス700億円となっています。大幅な赤字に転落です。
しかも、2020年3月期の4Q決算のうち、新型コロナウイルスの影響を大きく受けたのは3月だけです。たった1ヶ月で大幅な赤字に転落する影響が出ています。
新型コロナウイルスの影響がキツ過ぎです…
2020年3月期の下半期の旅客数と今後の旅客数見込み
出典:ANAホールディングス
こちらの旅客数データは、今後のANAホールディングス(9202)の行方を考える中で、最重要のデータです。このデータで、主な注目ポイントは2点あります。
注目① 2020年3月期4Qの旅客数
ANAホールディングス(9202)の主な収入源である、国際旅客と国内旅客のいずれにおいても、旅客数が大幅に減少しているのは2020年3月からという点に注目です。(国内では2020年2月28日に北海道が緊急事態宣言を発令。2020年3月以降の旅客需要減少に拍車がかかりました。)
繰り返しになりますが、これが何を示すかと言うと、2020年3月期の4Q決算内容である、前年比、売上マイナス1,000億円、営業利益マイナス700億円は1ヶ月の旅客数減少による影響であるということです。
注目② 2020年4月以降の旅客数
2020年4月以降はさらに深刻です。
国際旅客と国内旅客が激減しています。特に国際旅客はほぼ0%に近い数字になっています。
また国際貨物もおよそ50%減少となっています。
上記の旅客数データを用いた決算発表は2020年4月28日に行われているので、4月の数値に関してもほぼ確定値と考えていいと思います。
2021年3月期1Qの業績はどうなる?自己資本や資金繰りへの影響は?
2021年3月期1Qの業績はどうなる?
以下の前提で2021年3月期の1Qにおける売上と利益をざっくり考えてみます。
仮定 旅客数と燃料
①旅客数
4月と5月の国際と国内における旅客数がいずれも90%減少、6月の国際と国内における旅客数がいずれも50%減少。またLCCも同水準に減少。
⇒2021年3月期の1Qにおける旅客とLCCの売上は75%減少とざっくり仮定
(5月は連休があるため他の月に比べて売上高に差があると思いますがざっくり計算することが目的なのでざっくり平均値をとっています)
②燃油費・燃料税(営業費用)
⇒旅客数の減少により減便されると仮定して75%減少とざっくり仮定
2020年3月期1Qをベースに上記仮定をふまえて2021年3月期1Qを計算
2020年3月期1Q決算
出典:ANAホールディングス
2020年3月期1Q決算実績
売上 4,400億円 (国際旅客と国内旅客3,300億円、LCC200億円)
営業利益 140億円
2021年3月期1Q決算見込み(ざっくり計算)
売上 1,775億円(国際旅客と国内旅客825億円、LCC50億円)⇒国際旅客と国内旅客&LCC事業のみ75%減少
営業利益 マイナス1,870億円(売上減収分マイナス2,625億円(4,400億円-1,775億円)、燃油費・燃料税プラス615億円(820億円×75%))
その他にも様々な考慮する要素もありますし、旅客数などは仮定に過ぎないわけですが、考えられることは、四半期で1,000億円単位の赤字が計上される可能性があるということです。
自己資本はどうなる?
2020年3月期決算時点で、ANAホールディングスの自己資本はおよそ1兆円、自己資本比率は41.4%となっています。
出典:ANAホールディングス
先程、想定したような1,000億円単位の赤字には耐えられます。
ただし、ANAホールディングスは年間の売上高が連結でおよそ2兆円の会社です。メインである航空事業売上の大部分を占める旅客事業が万が一、2020年6月以降戻らいことがあれば、1年で債務超過もありうると考えられます。
(実際には、日本国内は新型コロナの抑え込みに成功しつつあるので、特に国内の旅客数はある程度回復すると考えています)
新型コロナウイルスに伴う資金繰り
2020年3月期時点の現預金
出典:ANAホールディングス
2020年3月時点で現預金と有価証券を合わせた手元流動性は2,386億円を確保しています。
資金繰り対策
2020年3月期の決算以降、以下の資金繰り対策がされたと報道されています。
①4月に民間の金融機関から1000億円を借入。
②既にある1500億円のコミットメントライン契約を3500億円を追加して合計5000億円へ拡大。
③日本政策投資銀行から3500億円の危機対応融資を「間もなく」(福澤常務)受けられる見込み。(2020年5月時点)
…
つまり、手元流動性の2,386億円と上記資金繰り対策9,500億円の、合計1.2兆円程度を確保しているので当面の資金繰りは安心できるとみています。
最後に
ANAホールディングスの株価は2020年4月6日に安値2,060円を付けてから本日の終値で2,726円となり回復傾向にあります。
新型コロナウイルスの影響が出る前の数か月は、3,500円近辺で推移をしていました。
私の個人的な意見ですが、業績が大打撃を受けている中で3,500円まで株価を戻すことは考えづらいです。一方で、万が一ではありますが、新型コロナウイルスの第二波や海外の新型コロナウイルスの影響により売上が回復せずに債務超過や資金繰り悪化を招くリスクがあります。ANAホールディングス(9202)への投資はリスクに対してリターンが低いと考えています。
私の結論としては、ANAホールディングス(9202)に投資するなら、リスクに対してリターンが大きいと考えられるものに投資をしたいです。例えば、既に投資をしている、原油ブル(2038)やandfactory(7035)などに継続して投資をしていきたいと考えています。詳しくはコチラ↓↓
また、興味がある銘柄がありましたら分析してみたいと思います!
今後とも『ゆうちゃんの投資ブログ』を宜しくお願いします~!!